一年に一度の巨大祭り!
書籍と文具・雑貨・玩具の見本市 「香港書展 Hong Kong Book Fair」!

今年も行ってまいりました、地元を代表する巨大イベント「香港書展」。
地元香港をはじめ、大陸・台湾など中華圏一円から、出版社・小売商・業界団体 650社あまりが一堂に会し、
新作本の紹介、大バーゲン、著者との交流イベント、楽しいエキシビジョンで華やかさを競います。
今年・2018年は天気にも恵まれ、入場者数は104万人の新記録達成!
老若男女、香港人のなんと7人に1人が訪れた計算となります。
「リオにはカーニバル、京都に祇園祭があるように、香港には書展がある!」
地元っ子にそう言わせるほど、単なる書籍見本市の規模を越えた「みんなのお祭り」。
漫画などのおもしろ新作展示もたくさんありました。それではレポートをどうぞ。

会期 2018年7月18日(水)〜7月24日(火)
会場 灣仔・コンベンション&エキシビジョンセンター(會展中心)

 今年もやってまいりました、メイン会場「綜合書刊館」。大型版元&小売チェーンの巨大ディス
プレイが今年も目を引きます。
 大手版元&小売のひとつ「中華書局」。香港の地元文化・芸術の研究紹介に意欲的です
が、ディスプレイの二枚看板はブルース・リーと「風雲」の馬榮成。数年前に刊行の自伝本
「馬榮成 風雲路」が復刊とのことで、大々的にプロモーションをしています。。
  
 ブース内には馬榮成のミニ展覧会。貴重な古い作品やカラー原画とともに、なんと「中華英雄」生原稿が展示されていました!すでに30年以上経過し、セロテープも茶色いですが…ほぼA
3サイズ、大きな紙に繊細なペンタッチが躍ります。馬榮成氏は「80年代は下描きを拡大コピーし、大型紙にペン入れをしていた」とインタビューで回顧しており、はからずも発言を裏付ける生
原稿となっていました。
 他にもブースには、80年代からの香港映画ファンならおなじみの天才イラストレーター・阮大勇のカラー原画も展示されていました。ブリジット・リン主演「マネー・チェイス」ポスター(1987
年)。少し褪せてしまっていますが、躍動感は今も変わりません。
 
 ほかの大手版元もめぐってみましょう。こちらは「大衆書局」。傘下にたくさんの小出版社を抱
え、漫画も多数刊行していますが、中でも元気なのが「香港あるあるネタギャグ」の王様「阿ロ
尼」。ディスプレイにもキャラクターイラストがふんだんに使われます。
 その「阿ロ尼」の新作「棟篤笑」をはじめ、人気漫画がひしめく大衆書局の平台。ケーキ屋経
営奮戦記「夾餅妹日記」や予備校教師の実録漫画「教書辛酸史」も、ずいぶん巻を重ねてい
ます。ほかにCAのお仕事あるあるエッセイ、新婚生活エッセイの漫画などが売れ筋の中心。
 こちらは「天地圖書」。ダメOLの成長記漫画「我的低能」シリーズが長いあいだ看板作品と
なっています。ことしもディスプレイに大きく登場。新作は少し趣向を変え、ジュラシック・ワール
ドにちなんだ恐竜物語や「いっしょに学ぶ故事成語」だそうです。
 「我的低能」シリーズはちびっ子からパパママ世代まで幅広い人気があります。また同社コ
ミック本もうひとつの目玉は「牛仔」復刻版。60年代末から「老夫子」や「13点」と同じ版元が
手がけていた、お爺ちゃんと坊やのほのぼの漫画。ボックスセット化し復刻。絵本感覚で小さ
な子供たちも手にとっています。
 さてやってきました「火鳳燎原」の東立香港。いつもの人気メンバー、金田一少年やしんちゃ
んも迎えます。今年の火鳳燎原グッズは「刃傷デザイン」!ザックリ斬られた刀キズからキャラ
が覗くという、大胆な柄のTシャツや雨傘を販売していました。
 
 東立ブースのショーケースには「武道狂之詩」「火鳳燎原」新刊とともに、過去の火鳳燎原
グッズが展示されています。奥はフィギュアメーカー「FEVER PLAY」による翼徳&燎原火。手
前には昨年グッズ・タンブラーやミニ屏風も並んでいますね。
 正文社ブース。看板漫画誌「CO-CO!」は21周年を迎えました。現在の推しはポケモン&妖
怪ウォッチのようで、根強い人気をうかがわせますが、そんな日本製キャラにまじって堂々とお
もてを張るオリジナル漫画「森巴 SAMBA」。
 そんな正文社に大ニュースが。大人気の読み物シリーズ「大偵探 福爾摩斯(名探偵ホー
ムズ)」が来年アニメ映画化するそうです!めでたい!いちおうノベルシリーズなので(漫画版
も少しありますが)当店では取り扱ったことがなかったのですが、これは楽しみですね。ちな
みにケモノのホームズアニメだからといって、東京ムービーのそれとは無関係です!主演も
広川太一郎ではありません!
 こちらは台湾の青文出版ブース。ドラえもん・名探偵コナン・ポケモン関連など、アニメ・コミッ
クに熱心な出版社で、オリジナルコミック作品も出しています。
 それがこの「爆笑校園」。ギャグ漫画です。こんなに巻を重ねていたとは気づきませんでし
た。平台が壮観!
 「老夫子」でおなじみ、老舗・呉興記出版。「老夫子」は近年、書籍出版のみならずグッズ製
作やイベント出店にも精力的で、カラフル&バラエティ豊かなオリジナルグッズが並びます。実
はグッズ&イベント製作実務を手がける企画会社、もと玉皇朝で懇意にしていた方がおやりに
なっていて、当店店主もグッズ準備にちょっとだけ協力しました。
 その「老夫子」、台湾ではまた別展開がありまして、絵本のような体裁に編集しなおした廉
価本シリーズが作られているようです。台湾小売店のブースでバーゲン本として出ていまし
た。コンビニ・コミックのような感覚でしょうか?
 新興出版社も見ていきましょう。ここは「九龍城寨」や70年代「龍虎門」のリイシューなどを手
がける創造館です。オリジナル新作はFelix Ip「香港重機」。香港ファンにはおなじみ地元の乗
り物=ミニバス・スターフェリー・MTR、消防車・アイス販売車・引越トラックなど「はたらくくるま」
が変型合体ロボ化するという、泣くほど素敵なイラスト集!香港版シンカリオン!?
 
 そんな「香港重機」の作者・Felix Ip(=「武道狂之詩」「今晩打喪屍」の葉偉青)さんがサイ
ン会を行っており、終了間際でしたが無理を言って並ばせていただきました。小巴(ミニバス)
の躍動的なイラストを描き添え、サインを下さいました!感激です。
  
 さて創造館、もうひとつの看板といえば「九龍城寨」。第2部のリイシュー本「典蔵版」の発刊がはじまり、記念として司徒劍僑さんのサイン会が今年も開催されました!
 さすが大御所だけあってサイン会は記名だけのシンプルなもの。とはいえ最近は大陸のサイト「テンセント」が主な作品発表の舞台で、香港での活動が減っている劍僑さん、お目にかかれ
る貴重な場です。昨年11月「PLAY!香港コミックス巡回展」でお会いしたのを覚えていて下さいました!
 その「九龍城寨」、昨年の書展でスペシャルイラストブック「浪漫大逃亡」が出ましたが、こちらが2017年の「香港印刷大賞」でグランプリを受賞したそうです!たしかに絵も装丁もデザイン
も、紙のチョイスに至るまでとっても素敵でしたからね…(当店でも引き続き取扱中です)
 こちらが「男たちの挽歌」漫画版の出版元・地上出版公司ブースです!今年はじめ、またたく
間に完売してしまった単行本第1巻を増刷し(しかも表紙イラストをリニューアルし)、複製画や
原稿画集やTシャツも販売し、さらに…?
 ブース奥にある艶やかなダンスイラスト!レスリー・チャンが1984年にTVショーで披露した
ひとりペアダンス「鴛鴦舞王」。こちらも著者・黄水斌の描き下ろしで、「FRUIT PUNCH
BLACK&WHITE」という新作画集に収録されています。
  総合出版社「毛記」ブースに来ると、見覚えのあるカワイイぬいぐるみが…阿塗「圖解廣東話」でおなじみのひよこキャラ「小學鶏」ではありませんか。第2巻が発売されていました。どうぶつの出てくる広東語慣用句を、字面どおり生真面目にイラスト化したらこんなに愉快だった!という、昨年度現地屈指のベストセラー。続刊も大々的に宣伝しています。
 その作画を担当した阿塗さんは連日ブースを訪れ、サイン会を行っていました。「小學鶏」の丁寧なイラストを一冊一冊に描いてくださるので(しかも全員絵柄が違う!)感激もひとしおですが時間もかかります。夜遅くまで読者の列が途切れず、阿塗さんもずっと律儀に絵を描き続けておられました。店主、昨年11月「香港コミックス巡回展からの再会を喜ぶの図。
 こちらは超個性派の小出版社「有種文化」。雨傘革命の現場スケッチアート集や国家風刺漫画「一路向北」などの版元ですが、現在はレジスタンス性より「香港独自の文化を守り創造しよう」という方向へ舵を切っています。叙情的街角イラスト集「蒐集・香港日常」出版記念の著者直筆パネルです。
 女流漫画家・謝[日麗]皮は香港アラサー女子を乾いた批判精神で描き、風刺センスの良さは現代漫画界でもピカイチですが、いかんせん…絵が個性的すぎます。なのに!有種文化ブースではその個性的造形をぬいぐるみ化。漫画とセットで販売します。これをカワイイと思えるには時間がかかるような…。
 新聞社系版元「明報」は大人気恐妻家実録コミック「我的港女老婆」シリーズを出していましたが、残念ながら作者Cuson氏が「港女」な奥様と別れ、シリーズは終了。ところがCusonはめげずに新作を2点発表!亡き父の思い出エッセイ漫画と、ズバリ「独り身悲哀漫画」。人気も衰えず、著作のまわりには常に人垣ができていました。
 そんなCusonさんは今年もサイン会を刊行。書展ではいつもノリノリでファンとの交流を楽しんでおられます(猛烈な行列ができるので、店主はなかなか参加出来ませんが…)。今年は新刊がちょっとせつない内容のため、御本人も寂しげかな?と思って覗き込みましたが…このとおり淡々とサインに応じておられました。
 あ…あれっ!?漫画出版社「玉皇朝」のブースが!店主が驚くのも道理です。なぜなら20年ほど前、書展から漫画出版社だけを引き上げて独自イベント「香港漫画節」を発足させた張本人が玉皇朝の社主・黄玉郎氏だからです。他社名義で参加社リストに掲載されていたので、会場に行くまで気づきませんでした。
 玉皇朝ブースは意外と販売物が充実していました。「侠客行」「龍神」「小魔神」など過去の名作をハードカバー化リイシュー。もちろんオールカラー・B5判は薄装本のままなので見ごたえたっぷりで豪華です。ただし高いです。重量感たっぷりの体裁もまさに「鈍器」ですが、お値段でも人をノックアウトできる感じです。
  
 個性派出版社「今日出版」、まぼろしの不条理漫画巨匠・利志達の新作「日食 Solar Eclipse」が出たのでポスター展示。左はたぶん利志達氏の直筆描き下ろしと思われます。新作は週刊誌連載の一枚絵をまとめたものなので、氏の作品としては久々に時事性・風刺性を強く感じさせるものとなっております。
 中央写真のポスターは印刷品ですが、左上に署名と「20180721」の日付が。作者御本人が21日にブースを訪れたとみられます。これも社会批判性を強く感じさせる絵ですね。現在のカオスな香港を描いていると思いますが、ひとりひとりの表情が圧巻です。こっちを向いている人がひとりだけいますね。無罪モラトリアムの椎名林檎嬢のようです。

 個性派漫画家をもうひとり。文地猫Mandycatはイラストレーターとしても売れっ子なので、香港の街のどこかで絵を見かけたことのある方も多いでしょう。暦や風水など、香港色の強いモチーフをテーマにした作品もあります。というわけでおめでたい色の福袋を販売しています。
 
 地元香港のみならず、中華圏のあちこちから出展者が集まるのが香港書展。こちらは台湾漫画・ライトノベルのファンの方にはおなじみの大手版元「尖端出版」。香港の「城邦 Cite」社と業務提携をして大々的にブース展開。しかし販売書籍は今年もノベルと日本ものの中文訳作品ばかりで、台湾地元漫画がありませんでした…しょんぼり。
 でも他にも数多くの台湾書籍販売ブースがあり、中には伝説の神漫画家・鄭問の全著作をズラリ並べる出展者も。惜しくも昨年亡くなられましたが、本年は故宮博物院で回顧展も開催中ということで再評価の気運が高まり、アーカイブ作品が軒並みハードカバー新装再発されています。分厚い評伝本「人物風流」も出ました。
 台湾出版社のノベル群。ここ「全力図書」は中華ハーレクインともいうべき恋愛小説量産型出版社で、古装ものもたくさん出していますが、いっぽうでホラーやBLのレーベルももっています。
 台湾書籍商、そして大陸書籍商を若い読者が心待ちにしている理由のひとつが「豊富な画集」です。大半が日本産品の中文版(アンソロものまで出ている!)ですが、中には台湾・大陸の地元絵師による作品もあります。香港の地元版元はなかなか出さないもので…(コストや市場規模の問題かと思われます)。
 で、大陸産書籍です。住民レベルではなにかと対立しがちな香港と大陸で、毎年ホールの一定の位置を占める大陸ブースも比較的人が少なかったりしますが、それでも豪華な本、学術的価値の高い本からカラフルな児童向け書籍まで、年々充実の度合いを深めています。
 大陸出版社、子供向け書籍の平台です。昔から人気の「喜羊羊」に加えて、中韓合作CGアニメ「超級飛侠」の絵本があります。昔ながらの読み物もどんどん挿し絵が垢抜け、デザインも紙質もよくなってきています。
 さて、子供向け書籍・知育玩具・情操教育の出展者は3/Fの「児童天地」に一堂に集められています。夏休みを迎えたちびっ子とその保護者を猛烈な勢いで吸引し、いつも大混雑です。こちらは開場直後、人波がおしよせる前に撮影。
 メリーゴーランドを模した豪華ディスプレイに、ディズニー・ロゴとDC「ジャスティス・リーグ」が同居するカオスぶり…この正体は英語教材販売会社のプロモーション。他にもありとあらゆるお楽しみと派手な装飾で子供を誘いますが、いちおう教育関連のセールスや企業の啓蒙活動に全部関係があったりするのです。




●2015年の「動漫電玩節」レポートはこちらでどうぞ!

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