香港書展2019レポート!
 
一年に一度の巨大祭り!
書籍と文具・雑貨・玩具の見本市 「香港書展 Hong Kong Book Fair」!

今年も行ってまいりました、30周年を迎えた巨大イベント「香港書展」。
香港のみならず、大陸・台湾などから600を超える出展者が集まりました。
本年はご存知のとおり、香港「反送中」デモの嵐の中の開催。
会期中の日曜日に、ちょうどすぐ近くがデモルートとなり
まったく入場客が来ないという状況になりましたが、
それでも97万人が来場。市民の期待の高さを証明しました。
今年もくまなく回ってまいりました。レポートをどうぞ!

会期 2019年7月19日(水)〜7月23日(火)
会場 灣仔・コンベンション&エキシビジョンセンター(會展中心)


さて今年もやってまいりました。広いホールを埋め尽くす書籍と雑貨。
平日昼間から、親子連れを中心にたいへんな人出です。
香港人みんなが楽しみにしている、夏休みの定番イベントです。

 まずは書籍小売&出版の最大手・三聯書店ブースに行ってみましょう。漫画
出版も積極的に手がけています。今年はテント風の傾斜屋根がグッドセンス。
毎年凝ったデザインのディスプレイを施し、7日間の会期で壊してしまうのがもっ
たいないほどです。
 三聯書店、漫画の平台。今年はあまり新刊がなく、左方のJohn Ho(ex.
「東京肉肉」)によるクマちゃんイラストの新作もコミックではなく絵入りの人
生啓蒙書。その周囲には独特のネコちゃんイラストで人気の草日の漫画
作品が並びます。
  
 やってまいりました「男たちの挽歌(英雄本色)」漫画版の版元・地上出版ブース。本年は「英雄本色」第3巻予約受付のみで新刊発売はない…という話で
したが、ふたをあければ関連グッズ販売の嵐。イラストアクリルスタンドのガシャポンまでありました。そればかりか近日執筆・刊行予定の「チャイニーズゴー
ストストーリー」漫画版のプレ画集が。(猛烈に高価でしたが!本編発行はまだまったく未定。)漫画家・黄水斌氏もほぼずっとブースに張りついておられま
した。
 
 東立香港ブース。下方で傘を差しているのは「火鳳燎原」に登場の「八奇」等
身大フィギュアです。こちらのフィギュアとセットになった単行本第66巻がプロモ
ーションの目玉。常に猛烈な人波が押しよせていました。
 正文社ブース。雑誌「CO-CO!」が休刊になり、バックナンバー販売もなく
なって淋しい…と思いきや、読み物シリーズ「大探偵ホームズ」のアニメ映
画化・今夏公開で大盛り上がり中。8/1公開で、客入りも上々だそうです。
 こちらは「九龍城寨」「復刻 龍虎門」の版元・創造館。乗り物がロボ化して戦
う!Felix Ipのイラスト集「香港重機」のパート2が出ました。その手前は謝森龍
異(ex.「香港感染」)の新作「闘恐怖」。こちらは地元人気作家の超短篇ホラー
小説競作に謝森龍異が挿絵をつけるという、活字中心の作品だったので当店
的には残念。
 創造館もうひとつの屋台骨、それは女児向け読み物シリーズ「童話夢工
場」。かつて「九龍城寨」の公式二次創作本を描いていた猫十字が作画、
平易な文章での童話・古典文学シリーズです。ああ…これもコミックで出て
いればなあ…と当店は惜しむことしきり。とてもかわいらしい絵柄です。
 こちらは「我的港女老婆」でおなじみCusonの平台。明報出版です。昨年は離
婚直後で、ひとり身のさびしさを反映したセンチな作品が並びましたが、今年は
一転して「ひとり身の楽しみ」を描いた気楽な新作が。転んでもただでは起きな
いだけでなく、気持ちに嘘をつかない著作活動。そのへんの率直さが地元民に
愛される秘訣でしょうか。
 
 明報ブースでは毎年恒例のCuson氏サイン会が。御本人もファンとの交
流を楽しみにしている模様。しかし今年は別版元よりもうひとつ新作「怪叔
叔の散歩道」があり、よそのブースでもあちこちでサイン会をおやりになっ
ていました。会期中、3社ぐらいで彼を見かけた気がします(どこでも大変
楽しそうでしたが…)。
 出版社「亮光文化」ブース。活字中心で意欲的な出版活動をしている会社で
すが、イラスト・漫画作品も少し手がけています。昨年は茶餐廳ギャグ漫画「[女
乃]茶通俗學漫畫」をここで取り扱っていたので、第2巻出てないかな?と探しま
したが、それどころか既刊1巻すら姿を消していました…。
 亮光文化の漫画・イラスト作品平台。手前には阿柱の作品群が並びま
す。どれも活字少なめのイラストエッセイで、「版型の小さい絵本」といった
風情ですね。阿柱さんは新作は後述の「格子」から出しており、こちらはコ
ミック本です。
 小出版社「CUP」ブース。カエルキャラでおなじみ白水作品を数多く出版してい
ましたが、最近は出版業務そのものを縮小。WEBのポータルサイト業務に軸足
を移していました。ところが近年、台湾インディーズ出版の代理販売を開始した
ようで、ブースも大型化して力を入れていました。
 「CUP」でプロモーションしていたのが、何年も前に出た阿塗のコミック
「棕國好狗」。管理社会の恐怖を描いたフランスの小説を大胆に翻案コミカ
ライズしたものです。ちなみに阿塗さんは書展での新作がなく、サイン会も
なかったので今年はお目にかかれませんでした。絵はWEBで盛んに新作
発表しているのですが…。
 超ロングラン漫画「老夫子」の版元・呉興記出版社。こちらは1階フロアのブー
スで単行本中心の販売ですが、3階と5階にもグッズ販売のブースがあって、
香港の風景や文化をあしらった楽しいイラストグッズを多数販売していました
(近日新入荷Up予定!)
 さて今年の「老夫子」呉興記ブースのメインビジュアルを見ますと…老夫
子・大蕃薯をはじめ登場人物の顔がみな真っ黒に塗りつぶされています。
ちょっと不穏な感じです。これは昨今の香港情勢を反映させたもの?と関
係者に聞いたところ、「それは関係ありません。数年前の描き下ろしイラス
トを使用しただけです」との答えでしたが…?
 こちらは政党「熱血公民」の出版部門でもある「熱血時報」ブース。政党美少
女擬人化コミック「黨娘」の版元ですが、残念ながら「黨娘」は販売終了だそうで
す。作中で友党/敵党として描かれていたゥ政党との関係に、何らかの変化
が生じたためかと推測されます。
 
 「熱血」の創始者・黄洋達はノベル作家でもあり、新作が数多く平台に並
びますが、こちら「中二少女山海経」は表紙絵が只今人気沸騰中の女流イ
ラストレーター・Little Thunder=門小雷によるもの。しかし絵の提供は表
紙だけです(「熱血時報」WEBサイトで漫画版連載中ですが、有料で地元
口座から課金しないと購読不可。紙の出版もまったく未定のようです)。
  
 ここが「漫道」ブース。過去に同名の漫画雑誌が出ていましたが、雑誌復刊などの趣旨はなく、単に会社名が残るだけの模様。店番をしているのは漫画
誌「暗黒指紋」の執筆メンバーさんです。で、かつて「漫道」に「ROBOX SKETCHBOOK」というイラスト連載ページを持っていたFelix Ip=葉偉青の新作が2点
も!特撮ヒーローイラスト集、そして某有名モンスターキャラを大胆にリライトした画集「怪」です。Felixさんにはブースだけでなく、書展帰りのバス停でもバッ
タリお会いしてしまいました。
 インディーズ漫画家の連合版元「格子」のブース。自社で漫画企画・出版も積
極的に行うほか、これまで自費出版で書展にはなかなか並ばなかった漫画家
さんの作品を数多く取扱い、非常にありがたい存在です。日本語が堪能なスタ
ッフさんがおり、似顔絵イラスト入りのバッジまでプレゼントしていただきました。
 そんな「格子」の平台。香港の特徴的な団地やビルを仔細に描いた「景
捜・屋邨」が中心にみえます。その左隣は「紙本分格」という、漫画情報サ
イト/ギャラリー運営/自主制作を行う個性的ユニットの出版作品。右隣
は昨年当店でも取り扱った多利の学習まんが「STEM少年偵探團」です
ね。
  こちらはイラストレーター・李健良のブース。かつて「風雲」の天下出版で馬榮成作品の表紙絵や美術スタッフで活躍し、近年では恐竜&古代生物のイラスト集「古生代」が地元少年少女たちに大受け。世界的な漫画の祭典・アングレーム国際漫画祭にも参加しました。
 ブース内はちょっとしたギャラリー風にしつらえられ、李健良の近作をたっぷり堪能できるようになっています(こういったブース設営は書展では意外と珍しいです。展覧よりとにかく書籍販売が優先!というブースばかりです。空や海の鮮やかな青さの中で、ストレートかつ仔細に描かれた恐竜や海棲生物たちが、いまにも動き出しそうに迫ります。
 それでは他版元のブースも駆け足で見てみましょう。「中華書局」の本年の目玉は「動畫摘星録」という、日本アニメについての資料・評論本です。著者の廬さんは内外のアニメ・コミック関連コレクター&研究者で香港藝術中心とも縁が深く、2017年「PLAY!香港コミックス巡回展」のさいに来日もされていました。展示品は日本なら「まん●らけ」様でたいがい入手可能とみられるものですが、香港ではそれはそれは珍品でありましょう。
 天地図書ブース。ここの人気漫画といえばおっちょこちょいアラサー女性のエッセイコミック「低能」シリーズで、今年も新作が出ています。独身OLから始まって、結婚し、子供が生まれ、現在はすっかり「大家族もの」に落ち着いてしまっているようです。
 大衆書局ブース。黄色い頭巾の「阿ロ尼」シリーズがおなじみの版元で、ほかにお仕事もの・日常生活もののカラーエッセイコミックを数多く出版していますが、本年は「日本をめぐる100の『なぜ?』」という本が目を引きます。日本観光ブームが続いており、軽めの体裁で日本をより深く紹介する書籍が最近のプチ流行のようです。
 こちらは児童向け学習・情操読み物のブースですが、オリジナルのロボットもの学習漫画シリーズ「Xロボット戦隊」が出ておりました。なかなか作画も緻密で、当店ももう少し余裕があれば仕入れても良かったかな?と思っております。
 こちらは台湾産書籍の取次業者「一代匯集」のブース。香港途同じく繁体字中文を使う台湾。国土・人口ともに小さすぎてニーズをカバーしきれない香港出版界をバックアップする存在として、台湾書籍は重要です。平台ディスプレイは、先頃アニメ化もされた「ひとりぼっちの○○生活」の漫画翻訳版ですね。
 日本ものコミック・ライトノベルの翻訳版が平台の大きな位置を占めるのですが、「けいおん!」や「けものフレンズ」「ねこあつめ」にまじって、見慣れない少女キャラが…じつはこれが台湾・高雄市地下鉄の公式キャラクター「高捷少女(たかめしょうじょ)」なのです!ノベルがたくさん出ているんですね。ついに香港でも販売されるとは!
 金庸作品の版元「明河社」に行ってみましょう。昨年10月末に金庸氏がおしくも天に召され、追悼書籍も香港でいくつか出たのですが、御本尊・明河社のブースはいつにも増して静か。漫画版書籍の販売も今年はありませんでした。ただひとつ李志清の水墨画集は出ていたのですが、大陸での出版物でした。
 その大陸(中華人民共和国)からも例年たくさんの出版業者・小売業者が出るのですが、なかに金庸の書籍・グッズを数多く揃えるブースがありました。糸とじ本の「書剣恩仇録」などシブイですね。ほかに李志清イラストのビジュアルを使ったクリアファイルなどもありました。
 大陸・台湾・日本の出版物をごちゃ混ぜに売っているブースもあります。ここはゲーム・アニメ・ノベルなどのイラスト画集を専門に扱うブース。地元香港ではこういった画集の出版はきわめて少なく、輸入頼りなのでここはなかなか貴重な存在です。
 それでは平台を見てみましょう。大陸産のゲーム・ノベルのヴィジュアルブックがかなり沢山あります。日本ではなかなか手に入りにくいものですね。装丁も紙質も印刷も、なかなか立派なものばかりです。
 今回は書籍以外のフロアはあまりきちんと回れなかったのですが、
3階の子供向け&雑貨コーナーに足を運んだところ、こんなブースを発見。
香港の地元漫画家&イラストレーターのキャラクターライセンス契約を促進するブースです。
画力も確かでオリジナリティにあふれる香港の絵描きさんたち、
皆様もビジネスへのご利用いかがですか? 


●2015年の「動漫電玩節」レポートはこちらでどうぞ!

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