一年に一度の巨大祭り!
書籍と文具・雑貨・玩具の見本市
「香港書展 Hong Kong Book Fair」!

単なる本屋のバーゲンの枠を越え、
「書展と美食展に行かなきゃ香港人じゃない!」と
地元っ子にいわせるほど重要な存在です。
今年は4日目・日曜日に台風が直撃し、
半日の閉場を余儀なくされるという不幸に見舞われましたが、
それでも6日間で昨年に迫る99万人が来場。
漫画関連の販売・展覧もたくさんありました。
さあ、それでは本年もルポをごらんください!

会期 2017年7月19日(水)〜7月25日(火)
会場 灣仔・コンベンション&エキシビジョンセンター(會展中心)

 会場は今年も、立派なディスプレイが軒を連ねます。大小の出版社、小売チェーン、取次の組合までがブースを出し、大幅
な割引販売やオマケ攻勢、作者のサイン会や交流会・講演などで客を誘います。今年の場内平均消費金額は812香港ドル
(約11500円)。この華やかさとオトク感なら納得ですね!
 
 
 それでは各ブースへ行ってみましょう。まずは漫画版元の
雄・東立香港。定番の人気日本漫画、そして「火鳳燎原」の
ディスプレイが見えますね。
 「火鳳燎原」、書展では単行本新刊は間に合わなかったも
のの(第61巻は9月発売予定)、合冊の「熱蔵版」、舞台化
脚本のノベライズ版、15周年記念グッズのタンブラー、そし
て公式パロディコミック「火鳳燎原Q 我的水鏡學園」など盛
りだくさんでした。
 こちらも漫画中心の版元・香港青文出版。「名探偵コナン」
中文版やドラえもん・ポケットモンスターのフィルムコミック、
オリジナル作品も多数出版しています。模型誌「ホビージャ
パン」の中文版もここ。
 総合出版社で漫画に力を入れているところもあります。ここ
は小売チェーンでも有名な「三聯書店」。スマートなディスプ
レイの下で、香港の歴史と現在を掘り下げた自社書籍を多
数紹介していました。「土製香港」という大判漫画シリーズも
手がけています。個性的なインディーズ出身漫画家を集め、
「香港」を感じさせる著作を自由に描かせて刊行しています。
 総合出版社「大衆書局」。傘下にたくさんの小出版社があ
り、個性的な漫画作品が出ています。軽いギャグ系エッセイ
漫画が多いですね。今年の呼び物新刊がディスプレイにみ
えます。おなじみ黄色い頭巾のキャラクター「阿ロ尼」もいま
すね。
 さあ、どんな漫画新刊が?平台を見てみましょう。今年のト
レンドはやっぱり「旅行記もの」。日本におしよせる旅行客で
もおわかりのとおり、香港はますます旅行熱が高まっていま
す。そしてもうひとつ「女子のお仕事もの」がとても多い。実
際にその職業に就いている作者による実録エッセイ漫画で
す。ここにもCA、お菓子屋さん、そして広告代理店や塾講師
の実録漫画がありました。

  
 別コーナーの傘下新刊ディスプレイを見ると、おや?香港
漫画のゴッドファーザー・黄玉郎氏の顔が。漫画家インタビュ
ー集「港漫回憶録」の続刊が出たのですが、その内容が黄
玉郎氏の回想コミックエッセイなのです。漫画なので近日当
店でも新入荷取扱開始します。お楽しみに!
 ここは新聞社母体の総合版元「明報出版社」。
メインディスプレイはカリスマ講師による一般常識のお勉強
本ですが、ここも漫画を多数手がけています。では、新刊平
台をのぞいてみましょう。
 ここにも「女子のお仕事もの」漫画が…幼稚園の先生、看
護師のエッセイ漫画です。(そういえば「子育てエッセイ漫
画」もかなりのトレンド。日本と同じですね。)
 お仕事女子を鼓舞する漫画のわきで、それじゃ男子
は!?というと…だらしなくて意識の低さが目立つ青年「廃
青」が昨年あたりからのトレンドワード。関連本がかなり出て
いて、ここにも新刊が見えますねえ。
 
 そんな明報出版社で、漫画家Cuson氏のサイン会に遭遇
しました。恐妻家漫画「我的港女老婆」シリーズが大ヒットの
人気漫画家で、さすがセレブだけあって清潔感がありシュッ
としています。新作でついに「家を買った」話が。(註:香港で
は今、1億円前後用意しなければまず家は買えません。そう
か…億儲けられる作品がまだまだ香港漫画業界にはあるの
か…)
 個性的な小版元もがんばっています。ギャグ漫画「老夫
子」を発行する「呉興記出版社」のブース。初代作者・王澤
氏が年頭に逝去した「老夫子」、ブースには過去刊行分の特
装本がずらりと並んで追悼ムードです。
 「老夫子」のブースはもうひとつありました。3階・文房具&
雑貨フロアに、ライセンスグッズを数多く販売する「企畫舎有
限公司」のブースが。マスキングテープ、クリアファイル、トー
トバッグ、ポーチなど可愛らしい商品が並びます。ふだんは
遊園地「海洋公園」売店など限られた場所でしか販売のな
い老夫子グッズ。ここぞとばかりにお客さんを集めていまし
た。
 昨年、管理社会風刺漫画「一路向北」や雨傘革命現場イラ
ストスケッチ集を出していた出版レーベル「有種文化」。今年
は香港ダメウーマンの愚痴系エッセイ漫画がプロモーション
のメインです。作者の謝[日麗]皮さんは「熱血時報」社から出
ていた漫画雑誌でも連載をしていた、個性的な絵柄の持ち
主です。
 「CUP」社はカエルキャラでおなじみの風刺漫画家・白水の
単行本を出しています。新作も出ていましたが、社会風刺で
はなく1990年代プチ・レトロネタでした。また、他の出版作品
はライトノベルや軽い読み物が中心で、漫画はあまり出版点
数がないのが残念。センスの光る小出版社だけに、もっと漫
画も読んでみたいのですが。
 ここは「風雲」で馬榮成の片腕を永年つとめた漫画&イラス
トレーター・黄水斌氏の個人出版社「地上製作」。映画「男た
ちの挽歌(英雄本色)」のコミカライズ出版を準備中とのこと
で、予約を受け付けていました(発売日は未定のようです)。
ほかにも美人画イラスト集「FRUIT PUNCH」シリーズ、古巣・
天下出版からこちらの版元にお引っ越しして新作を出してい
ました。
 「九龍城寨」小説版や漫画合冊本、「復刻 龍虎門」を出し
ている「創造館」です。「九龍城寨」のスペシャル画集を買い
にいったら、作者・余兒氏と作画担当・Pen So氏がブースに
おそろいで、買った画集に次々とサインを入れて下さいまし
た!!しかもPen So氏のサインは絵入り、一冊一冊絵が異
なっていました。たぶん絵をつなげるとひとつの九龍城寨が
建つと思います。当店でお買上げのお客様、そのうち皆様で
「せーの」で合わせてみて下さいませ(!?)
 ちょっとフロア移動。3/Fにあがると台湾輸入書が集合した
コーナーがありました。「尖端出版」は台湾の漫画好きなら
だれもが知っている大型版元。ただし台湾産漫画の販売は
ほとんどみられませんでした。
 
 では何を販売していたかというと、地元書籍はライトノベル
が中心。画像手前は女の子向けのラブロマンスものです
が、表紙を人気少女漫画家・三月兎さんが手がけています
ね。ふわっふわで緻密でかわいい絵柄の漫画家さんです
が、近年、台湾でも商業漫画の出版点数が減ってしまった
ので、ノベルのイラストに活路を見出したようですね。
 台湾輸入書は版元直販ブースのみならず、小売店ブース
でも大きく展開されていました。ここは「楡林書店」の一角。
惜しくも春に逝去した巨匠漫画家・鄭問氏の追悼特装版を
展開しています。お客さんも手にとって重厚感を確かめてい
ますね。しかし気になるのは、その上方にある「深夜食堂」
のディスプレイ…中華圏各国ではいまだにかなりの人気で、
オリジナル映像化作品が次々と発表されているようですが。
 日本漫画・ラノベの中文版ももちろんあちこちで大展開され
ていました。が…人気が突出していたのが、たかぎなおこ氏
のエッセイコミック。数年前から書店の棚ででやけに大きな
一角を占めていましたが、さらに人気が高まっている印象で
す。先述の「女子のお仕事エッセイ漫画」も、たかぎ氏著作
の影響を受けた延長線上にあるのではないでしょうか?
 おっと、台湾輸入書で忘れてはならないのがBL。香港出
版界が消極的なぶん、域内の需要を台湾がカバーしていま
す。台北駅前の専門店で、香港・信和中心にも支店をもつ
「可米購Comic Go」が今年もブースを出していました。た
だ、女性向け耽美作品ばかりではなく萌え美少女ものも取り
扱っていますね。そしてBL関連在庫は昨年より表現がマイ
ルドなものが多いような…期間中に店主は信和中心のお店
ものぞきましたが、書展と随分品揃えが異なっていました。
 香港・台湾・日本翻訳書籍のほか、大陸(中華人民共和
国)産書籍も販売されるのが書展の特徴。ただ昨年よりブー
スの数が減り、精彩を欠く印象でした。あまり個性的なブー
スもなかったのですが…こんな小ブースを見つけました。山
海経イラストグッズ専門ショップです。奥にあるのは妖怪ペー
パークラフト!センスも良くて凝ってます。しかしどうやって飾
ればよいのでしょう…!?
  3/Fフロアは二つに分かれていて、西側の大きいフロアは児童書が中心。ここは小学校中学年〜中学生ぐらいを対象とした読み物のコーナーですね。日本でも多数出版されているジャンルですが、香港でも近年充実著しいようです。
 ちびっこ向けの「○○大百科」的書籍はどこの国でも隆盛し、最近は韓国産が脚光を浴びるなど製作のインターナショナル化も進んでいるようですが、これは香港「和平圖書」が手がける「サバイバル大百科」シリーズ。地震、大型台風、竜巻のほか「原発事故」「エネルギー危機」「大気汚染」などという巻もありますね。おとなの香港人が感じる脅威の種を、そのまま反映している気もします。
 子供の本だからといってナメてはいけません。「新雅文化」社は香港の歴史や旧跡をたどる絵本を出版していますが、凝ったポップアップ絵本、さらにはアプリ連動で絵本上の香港にトラムを走らせたり、飛行機を飛ばしたりできるというビックリハイテク仕様も!ああ…予算に余裕があれば買いたかった…。
 そんなわけで子供もワクワクがとまらないワンダーランド・香港書展。家族連れがこの驚異の入場者数を支えている大きな柱です。児童書コーナーに隣接して知育玩具も豊富に展示販売されており、ちびっこたちが夢中になって遊んでいます。(写真整理中に気づきましたが、子供たちには親や祖父母だけでなく住み込みメイドに連れられて来る子もいるようです。また、地域ボランティアや先生に引率され集団で来る子供もいます。)
 そんな知育玩具ブースをよーく見ると、意外と「香港みやげ」に好適そうなものもあります。ここは「のりものおもちゃ」を扱っていますが、香港独自のパトカーや救急車、工事車両とそのジオラマ小物など、通常の模型店で買うと高額で憤死必至の数々が、良い感じにチープな出来で安価に販売されています。こういうのを発掘するのも楽しそうです。
 香港らしさは、同じフロアの文具・雑貨コーナーでも。ここはマスキングテープ専門ブースで、香港の文化や飲食物、のりものなどをテーマにしたかわいいマステが、サイズ豊富でしかも市価より割引で販売されています。どれを選んだらいいか迷ってしまいます!
 文具ブースは年々、品質・センスが向上して魅力を増しています。香港の文具は日本よりずっとモノが貧弱で高く、品質も良くなかったのですが…ここはカードなどをかわいく作れるペーパーカッターやエンボス加工器のブース。進化にびっくりです。
 こんなものまで…小学校の先生がよく使う「もっと がんばりましょう」「よく できました」「じを ていねいにかきましょう」etc記されたハンコ。あれの香港版があるんですね!これさえあれば明日から香港で先生になれます(!?)
 そんな書展ブースですが、香港文化を感じさせる素敵なディスプレイにあちこちで出会いました。ここは欧州高級文房具メーカー「ステッドラー」社ブース。昔ながらのコロニアル建築、階下にかまえる店舗を再現していて素敵ですね。販売商品はバリバリのヨーロピアン・モダン文具なのですが…
 ここはナチュラル・ロハス関係書籍を多数出版する「生命工場」。今年は香港名物・ミニバスの行先表示板を模したディスプレイが愉快です。この「ミニバス書体」が最近香港のプチブームになっていて、キーホルダー等のグッズにして持ち歩く人も増えています。


そんなわけで場内をくまなく回ってまいりましたが、
店主の帰国する7月23日(日)に朝から台風が直撃し、
書展は夕方まで閉場を余儀なくされてしまいました。
店主は前日までにお買い物・見物はすませていたので影響はありませんでした…と言いたいところでしたが、
買った大量の書籍を船便発送しようとしたら、受け付けてくれるはずの空港郵便局が
台風シグナル「8」発令のため突然閉鎖!
巨大なダンボール箱を抱えて途方に暮れてしまったのでした。(※某LCC様の追加託送手荷物引受で解決しましたが。)




●2015年の「動漫電玩節」レポートはこちらでどうぞ!

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