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今年も1階メイン会場「総合書刊館」に入ると、大手チェーンのブースが 目を引きます。三大チェーン「三中商」の一角「商務印書館」は今年も定 位置。 |
その後方に、台湾系「楡林書店」が2レーンにまたがって大きなブースを出しています。台湾と香港の関係があまり良くないため、いつまで香港で展開できるか不透明ですが、そんな不安を吹き飛ばすような巨大展開です。 |
「萬里機構」はガイドブックやハウツー本など軽い実用書で市民に親し まれていますが、今年は余遠鍠の新刊を出すなど、久々に漫画書籍の 発行にも乗り出しています。 |
「三中商」の中でも地元ポップカルチャー研究本・コミックを今も精力的 に刊行し、目が離せないのが「中華書局」。毎年凝ったディスプレイでも 楽しませてくれます。 |
今年はコミック「老夫子」のメモリアルボックス、映画や芸能の記録本を出した関係で、なつかしの映画パンフレットや芸能雑誌を多数陳列。「電影双周刊」は香港映画ファンのバイブルでした。 |
同じく中華書局のディスプレイ。プラスチック製のブタやパンダ、起き上 がりこぼしなど懐かしのおもちゃが並び、懐古趣味本を盛り上げます。 |
こちらは點子出版。2019デモのころまでは民主派寄りの若者向け刊 行物も数多く出していましたが、最近ではホラーノベルやジョーク集な ど、至ってライトな読み物ばかりとなっています。そんな點子出版、今年 の目玉は… |
中環でオリジナル妖怪シール&グッズショップを展開し、地球の歩き方香港にも掲載されている「豚肉窩點」。香港の都市伝説をポップなシール風イラストで一堂に集めた書籍「ホンコン・お化け百物語」を上梓しました。第1巻は市中の書店でも買えますが2巻は書展のみで展開、とのことでした。 | |
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こちらも香港の文化深掘り&コミック刊行で注目の「明報出版社」。
Cuson作品の発行もずっとここです。今年はほかにどんな作品を発売し ているでしょうか? |
映画関連で力の入った新刊がありますね。「私のプリンス・エドワード」のノリス・ウォン監督による新作「填詞L(作詞家志望)」のシナリオ&シネマブックもあります。監督のサイン会やティーチインもあったようです。 |
「火鳳燎原」でおなじみ東立香港のブースです。台湾でもイベントオリジ ナルグッズを出したようですが、こちらは紹介のみで販売はなかったもよ う。現行78巻までを一括購入した人には、なんとキャリーケースをプレゼ ント。実際に引いている人を会場で見かけました。 |
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最近は大型書店だけでなく「小さくてセンスのいい書店」を愛でる傾向 が香港にもあるらしく、そういったコンセプトでブースを作る出展者も見受 けられました。本のほかにトートバッグなどのグッズ販売もありました。 |
街で頑張る「小さな本屋さん」のムーブメントはここ書展にも波及しています。独立書店「界限書店」は今年も単独で出展していましたが、ほかにこの「藍藍的天」という地味なブースも注目すべきものでした。なぜなら… |
ここは「森記」「留下書舎」「一拳書館」など名だたる独立書店と、そこに 本を卸すマイクロ版元の、事実上の連合ブースだからです。やはりおカミ に目をつけられやすいらしく、ここで販売していた5点の書籍が会期中に 取り下げ勧告にあってしまいました。 |
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かわいいイラストが目をひく「創造館」ブース。こちらは今年たいへんな 台風の目になりました。なぜならここは… |
そうです。空前の大ヒットとなったアクション映画「九龍城寨之圍城」、原作小説の版元だからです。ブースの裏にまわると映画の広告ビジュアル、原作者・余兒さんのメッセージがどーん。しかし、肝心の関連書籍は… |
ほとんど売り切れ(涙)。小説本全3部、司徒劍僑のコミック版、コミック 10周年記念本、Pen Soの特別版絵本「浪漫大逃亡」、映画セットの写真 集といった関連本を発行していますが、かろうじて小説本第1部が残るの み。これも毎日閉場近くには完売していて、すさまじい売れ行きでした。 |
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「熱血時報」は今も政党として残る団体の出版部門ですが、すっかり 政治色は薄れてエンタメ読物ばかりになりました。久々に漫画の新刊 が出ました。代表の黄洋達が脚本、「古惑仔」の牛イ老が作画の「城寨 [金票]局」です。力の入った劇画作品です。 |
「突破機構」は2019年までは民主派応援の刊行物を数多く出し、その後 も若者のエンパワーメントを統一方針に精力的に活動してきた出版社で す。ところが… |
ここの看板雑誌だった「BREAKaZINE」は刊行が止まっていて、今秋に 最終号、来春にまとめ号を出して正式休刊することが決まりました。デモ の最中に「勇気とは」「正義とは」を真正面から問う特集をやったり、力強 くて良心的な雑誌だったのですが。残念です。 |
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会場の大半は活字本、それも軽く読める本が多数ですが、今年は「精
神病の闘病記」「うつ体験記」といったメンタルヘルス関連の体験本が 妙に目立ちました。いま香港では「社会が病んでいる」と口に出すと怒ら れたり捕まったりしますが、「自分が病んでいる」と言っているかぎりは 捕まりませんので。 |
会場のそこかしこに習近平中華人民共和国国家主席の関連書籍を集めた大きなコーナーがありました。去年までは大陸出展者と「三聯書店」ぐらいでしたが、今年は取次業者の出したブースにもいくつかありました。 | レトロ・懐古関連の企画も多かったです。こちらは1980〜90年代をにぎわせた芸能&ティーン情報誌「YES!」と「FEEL100%」でおなじみ劉雲傑とのコラボ企画。昔のスターのポスターやカードを配って人を集めていました。コラボ本、もう少し安ければ仕入れたのですが。 |
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「陋室五月」というブースには連日、朝から黒山の人だかりでした(こ れは夜遅く、人通りが一段落してからの撮影)。「クリィミーマミ」のライセ ンスを受けて限定イラスト冊子を頒布し、それが争奪戦になっていたよう ですが… |
ここはイラストレーター、スティーブン・チョイ氏のブースでもあります。海洋堂から「Zoo&Pi」というシリーズフィギュアも出ているチョイ氏、こんなに大迫力で精緻な絵描きさんなんですね。古龍の武侠小説「英雄無涙」の絵本版も制作なさっています。 |
ここが香港インディーズ系漫画家の出版を一手に取りしきるハブ版元 「格子Quire Books」のブースです。もとは大手版元と契約していたのに 漫画事業の終了などで行き場を失った作家さんも皆ここに集結したので、 いまや物凄く豪華なラインナップに。そして連日、作家さんを集めてサイン 会を開催。店主も勇んで参加しました。 |
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独特のヘタウマ女性画で人気を誇る謝[日麗]皮さん。当店でも長年ご 著書を取り扱ってきましたが、やっとお会いできました。たいへんお綺麗 な方で、描くキャラとのギャップが凄い(苦笑)。日本にも愛読者がいま すよと伝えると、目を丸くして喜び、「日本のキモノを描くわね!」と、サイ ンに和装女性の絵を添えて下さいました。 |
2018年「Play!香港コミック巡回展」以来の再会、黎達達榮さん。てん●う虫コミックス風の装丁が愉快な新作「華富邨通霊豆沙猫」をお出しになりました。1冊1冊に精巧なイラストを入れて下さるのがこの方のサイン会の恒例。今回もかなりの冊数を買わせていただきましたが、すべてに異なる手描きイラストが入っています。2018イベントのライブドローイングを思い出して胸が熱くなりました! | 実は会場には、2023年「SOULTOPIA」刊行のArYUさん(左)、「我們的快樂時代」刊行のVenus(LOSZEHAHA)さん(右)という気鋭の新進漫画家さんふたりもおみえになっていて、記念写真をパチリ。ふたりはこのあと「港漫動力」選出作品の発売も控えているというタイミングで、当店にも8月末ごろに作品が着荷予定です。現地でも評判が良いようで、楽しみですね! |
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さて「格子」を通じて世に送り出された新時代の漫画作品たちは、すっ
かり香港人の中にとけ込み、多くの書店の店頭をにぎわせています。こ こは新聞社「星島日報」グループで書籍の取次販売・出版を行なう「泛 華」「星島出版」のブースですが… |
ずらり並んだ漫画作品。しかもこちらではセール割引ありです(すぐそばに正価販売の格子ブースがあるので大きな声では言えませんが)。当店で現在販売中の作品もたくさんありますね。 | ここは「星光・夢繪」、去年「格子」さんが間借りしていた場所です。オリジナルの新刊もいろいろあり、Mango Naokoさんのフクフク猫さん&団地イラスト「屋邨ロ苗」シリーズの新作も出ていました。かわいいブースですね! |
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ここは「今日出版」。独自性の強い社会評論・ノベル・漫画作品を手が
けている小版元ですが、おもてにまわると… |
全面で利志達を大フィーチャー。今年は残念ながら新作がないのですが、海外でも高く評価された「蟾宮事變」のビジュアルをブース全面に押し出していました。
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利志達は90年代「CO-CO!」連載作品「草苺妹」の復刻版第2巻を刊行したとのことでコーナー大展開。よく見ると棚の上下のドローイング、これは利志達氏の直筆描き下ろしなのでは…会期が終わったら壊してしまうブースなのに、なんと贅沢なことでしょう。
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みなさまお待ちかね「男たちの挽歌」漫画版リリースの地上製作で
す。今年は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」最終巻をリリース、めで たく完結いたしました。ほかに「港漫動力」に著者黄水斌氏が選ばれ、 選出作「時間少女」に全力投球だったため他商品は少なめ。去年アナ ウンスのあった「男たちの挽歌2」漫画化も、今後に持ち越しのようで す。気長に待ちましょう。ブースには毎日ずっと黄水斌さんが貼り付いて おられました。 |
さて会場には特設展示「漫遊光影文字間」もありました。映像作品と活字文化とのかかわりを多面的にみせるというコンセプトのエキシビジョンです。
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展示場にはモニターと音声再生機があり、往年の名作映画やドラマを見ながら、関連の書籍を閲覧し「活字」という方向からより深くアプローチできるようになっています。というわけで「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファが映っています。
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さらに!「九龍城寨之圍城」に関連し、模型&雑貨ショップ「TINY」製
作の九龍城寨ミニチュアモデルがここに移設され、お客さんを集めてい ました。真上に往年の塗装のキャセイパシフィック機も飛んでます。「ゴ ーッ」という轟音が聞こえてきそうですね。 |
書展フロア外のスペースにも「映像作品と文学」の特集展示がありました。これはレスリー・チャン往年の名作映画「覇王別姫」ですね。原作は李碧華さんという女性作家の小説。「ルージュ」「川島芳子」などもこの方の原作だそうです。
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ほかに新旧8人の映画監督をフィーチャーし、作品と文学とのかかわりをパネル展示していました。これはツイ・ハーク。「セブンソード(七剣)」は梁羽生の武侠小説が原作ですね。
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「由字及興」と題した連合ブックフェアで、自由自立を愛する独立書店 とインディーズ版元・マイクロ版元が集合し、小さなテーブルを並べて本 を売るイベントです。 会場:獵人書店Hunter Bookshop 1・2階 |
マイクロ版元やZINE等も含め、個性的な本が並びます。地元文化尊重・自然尊重の書籍が多いですが、声高に文化保護や自然保護を叫ぶのではなく「博物誌」「研究本」的なアプローチのものも多数ありました。
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場内は足の踏み場もないぐらいの人・人・人!土曜の午後という好時 間帯だったからかもしれませんが、それにしても身動きも取れないほど の混雑でした。 |
2階はもともとイベントスペースだそうですが、仮設のスチール棚に、おもに台湾からの輸入書籍を並べて販売していました。漫画や美術書も多く、さほど政治寄りの書籍は多くない・・・いや、実はまあ多少はありました。撮影はしませんが。
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2階もこれまたたいへんな人出でした。やはり若い方が多いです。実は香港、このように書に親しむインテリ若年層は移住でどんどん減っています。街を見回しても実感します。数少なくなった人々の「最後の砦」かもしれません。 |
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